東京大学講評

東京大学を受験した皆さま、受験お疲れ様でした。
試験が終わった方々、来年以降挑戦する方々に向けて、今年の入試について講評したいと思います。

英語
英文量や難易に大きな変化はなく、要旨・読解・英作文・リスニング・文法語法と出題分野も概ね例年通りでした。
ただ東京大学は毎年のように設問形式が変わっており、そういう意味では今年も設問の形式には変更がありました。
過去問をしっかり解いてきた受験生からすると今回の出題形式の変更は十分想定の範囲内であり、
総合力を養いつつどれだけ対策を練ることができたかで、得点に差がついたのではないかと思います。

文系数学
全体的に計算量が少なくなり、難易度としては易化したと言えます。
例年通り、確率・整数・微分積分・数列などが出題され、苦手な受験生でもしっかり対策すれば十分得点できたと思います。
ここ最近は簡単な小問を含む典型的な問題の出題が増えているので、苦手分野をなくし頻出分野の対策が重要です。
とにかく闇雲に問題集を解くよりも、しっかり数学的になぜそうなるのかを考えて、頭を使って解くようにするのがオススメです。

理系数学
昨年度と比較すると全体的に易化したような印象でした。珍しくⅢの微分積分の要素が少なかったですね。
Ⅲの微分積分の要素は少なかったですが、確率・整数など他頻出分野の出題はありましたので、全体的には例年通りのボリュームかと思います。
今年は全体的に解きやすい問題が多く、部分点などをもらうことが十分可能なため、
1つの問題に固執せず、解ける問題をしっかり解いていくことが合否を分けるポイントになったかと思います。

国語
文系・理系ともに例年通りの難易度かと思います。古文は頻出分野の源氏物語からの出題のため、対策ができた人は有利だったと思います。
現代文は昨年度と比較すると難しかったが、これが本来の東大の難易度であることを考えると、これが標準の難易度だと言えます。
古文は頻出分野からの出題で対策の有無がハッキリ差になったと思われますが、漢文は全体的に易しい問題が多かったので、差が出にくいと思います。
全体的に例年通りの難易度ですが、特に古文は想定可能な出題分野ですので、対策出来た人がやや有利という問題でした。

世界史
分量・難易度ともに例年通りですが、大問1が珍しく古代のみの範囲で、他問題も初出題のテーマが多かった。
元々私大対策も兼ねて総合的な対策をする人が多かったと思うが、特に今年はそれが活かされる形となる問題でした。
落ち着いて挑めれば特別難しい問題があったわけではないので、十分合格点は目指せたと思われます。

日本史
分量・難易度ともに例年通りで、全体的に見ても大きな変化はありませんでした。
細かな暗記を要求するような問題が出題されないため、歴史的な流れや背景を意識した学習の有無が点数に影響したでしょう。
例年そうであるが、文化史をないがしろにせず、政治史や経済史との関連性に着目しつつ学習することが得点につながります。

地理
分量・難易度ともに例年通りですが、図表が減ったため負担は軽減できたのではないかと思います。
論述問題のテーマも取り掛かりやすく、基本的事項がしっかり押さえられていれば十分合格点を目指せたと思います。
例年、世界地理に関する問題が多いため、世界史受験生はその点も意識して対策ができると効率的です。

物理
小問数が減少したため分量が減り、また容易に解答できる問題があったため全体的に易しくなりました。
普段から問題を解くときに値の予想をしていると、今回のような問題に対応がしやすく、
物理に対する知識量ではなく理解度が総合的な点数につながったのではないかと思います。

化学
全体的に問題が簡単だったため、得意な受験生はあまり周りに差をつけられなかったかもしれません。
有機が全体的に易化し、無機の出題が多く、大問3が理論に変わったなど、全体的に変化がありました。
今年は特に、化学に対してしっかり向き合い、対策をしてきた受験生にとっては難しくない年だったと思います。

生物
全体的な記述量は減ったものの、課題文の増加や光合成に関する問題の難度が高く、全体的には難化したと思われます。
パッと見て最初からとっつきにくい問題が出題されましたが、落ち着いて解いてみるとさほど難しい問題ではなく、
しっかりと見極めて解ける問題から解いていけたかどうかが、他選択科目と比べて点数の差になったのではないかと思います。