秋入学について

日本では4月入学が一般的ですが、世界的には9月入学が主流です。
今回は日本でも普及しつつある秋入学(9月入学)についてご紹介したいと思います。
前回の記事はこちら→日本は4月に学校が始まるけど、世界ではどうなのか?



「秋入学」という言葉が世の中で広く普及したのは、2011年7月に東京大学が入学時期を9月に改める試みを発表してからではないだろうか。
東京大学をはじめ日本の大学は一般入試を経ての4月入学が主流であるため、世界基準である9月入学に合わせることで、海外からの留学生や研究者を受け入れやすくするという狙いがある。
また当時発表された東京大学の構想では、入試の日程は変更せず、合格後から入学までの半年間はギャップイヤー(ギャップターム)とすることで、
その半年間を留学や語学研修、インターンシップやボランティアなど様々な社会経験に充てられるようにするという狙いもある。

2018年現在、秋入学という制度は様々な大学で設けられています。
帰国子女や海外からの留学生向けの入試が多いですが、国内の学生に向けた入試も存在しています。
むかしと比べると少しずつではありますが、9月に入学できる制度やカリキュラムが増えてきたように思えます。

さて、秋入学の制度や入試、カリキュラムは大学によって様々ですので
今回はこの記事の執筆者が慶應卒ということで、ここから先は慶應に絞ってお話させて頂きます。

慶應義塾大学では総合政策学部・環境情報学部の2つの学部(以下SFC)で9月入学の入試を実施しています。

これは一般入試ではなく推薦入試(AO入試)で、6月~7月に出願し9月に入学する入試です。
慶應では帰国生入試もあるのですが、こちらの入試はそれとは別に国内生も受験ができる入試です。

2018年現在、このAO入試はA方式・B方式・C方式・IB方式の4種類があります。
A方式は一般的なAO入試の募集要項とほとんど同じです。
B方式はA方式の内容に加えて、高校での評定平均が4.5以上であれば出願できます。
C方式は大学指定のコンテスト(数学オリンピックや小論文コンテストなど)での入賞者が対象です。
IB方式は国際バカロレア資格(International Baccalaureate Diploma)を取得した者が対象です。

普通の高校生ならA方式、学校での勉強を頑張った人はA方式およびB方式での出願できます。
もちろんコンテストで入賞している人はC方式がいいですよね。書類審査免除で面接にいけますから。

※AO入試についての細かな説明は次回以降記事にしたいと思います。急ぎで質問がしたい人はお問い合わせください。

さてさて、そんな感じで慶應義塾大学では国内生でも受験できる秋入学が用意されています。
ただ前の記事でも書かせて頂きましたが、この秋入学にデメリットはないのでしょうか?

秋入学に対する不安として、前回の記事では
「就職活動が不利にならないか?」
「日本人の友達ができにくいのではないか?」
「一般的な大学生と生活に違いはでないのか?」
など書かせて頂きました。

慶應義塾大学のSFCの場合、これらの不安はほとんどありません。

まず「就職活動が不利にならないか?」ですが、慶應の場合9月入学、3月卒業が可能です。
通常は9月に入学して8月に卒業するのですが、4年間と半年在籍して卒業資格を得るということが可能です。
つまり、一般的な大学生よりも半年長く大学生をすることで、3月に卒業するということができます。
ただこれだと、実質的に1浪と同じスケジュールでの卒業になってしまいます。

そこでSFCには3年半で卒業をするカリキュラムがあります。
これはある程度優秀な成績を修める必要があるのですが、これであれば4月入学者と同じ時期に卒業が可能です。
そのため、努力次第では4月入学者と同じような卒業が可能なため、就職活動が不利になることはあまりありません。

次に「日本人の友達ができにくいのではないか?」ですが、SFCの場合は全学年自由に授業を受講できるカリキュラムのためあまり関係ありません。
他大学の場合は必修授業という「必ずとらなければならない授業」というのが学年・時期ごとに設定されています。
これのせいで、多くの大学の9月入学者は4月入学者と同様のカリキュラムにならないため、友達ができにくいという事態が起こります。
ですが、SFCの場合はこの必修授業が少なく、また学年による受講の制約もほとんどありません。
必修が少なく自由な授業を受講できるため、同時期の入学者でも同じ授業が被ることは珍しいですし、
学年による制約もほとんどないため、ある人は1年生で受講して、別の人は4年生で受講するなんてこともあります。
ですので、友達はサークルやゼミなどをメインで作りますし、たまたま一緒になった授業で友達ができるので、あまり心配ありません。

最後に「一般的な大学生と生活に違いはでないのか?」ですが・・・うーん。これは何とも答えにくいですね。(笑)
一般的には9月入学で半年間入学・卒業が変わってしまいますので、そういう意味ではもう「一般的」ではないですね。
慶應で仮に4年半卒業・3年半卒業をした場合、卒業時期は4月入学と同じですが、やはり「一般的」ではないですね。
まぁ言葉遊びになってしまっていますが、「一般的」が何なのかを定義しないと答えにくい問題です。
とは言え秋入学をしたからと言って、何か特別厳しい経験をしたりするようなことはないので、
広い意味では「一般的な大学生生活ができる」と答えていいと思います。

秋入学について慶應義塾大学を中心に書かせて頂きましたがいかがでしたでしょうか?
少しでも秋入学について知って頂き、興味を持っていただけたのであれば幸いです。

何か秋入学やその他の入試についてご質問がある方は、お気軽にお問い合わせください。

それではまた次回。よろしくお願いします。